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【ONTA KILNS FOLK POTTERY Vol.3】小鹿田窯への継承

2010年05月01日

小鹿田焼専門店おんた家をご覧いただきありがとうございます。

 

ONTA KILNS FOLK POTTERY‐Vol.3

小鹿田窯への継承

 

九州文化圏内の諸窯の窯芸技術は共通的な伝統要素が強い.それは相互交流が盛んであった事を意味する.胎土の生成方法,碗類,皿類,鉢類,小壷類などの「水引きのろくろ」成形,大壷,かめ類の「輪積み」による叩きつくりは九州地域の基本的成形技術である.その源流は李朝の陶技で,今日ではややその姿を変えながら各地に伝承されている.

施釉陶の場合の釉薬の精製と配合方法や,施釉方法も九州陶窯では共通した技法といえる.しかし代表的な土灰釉(木灰釉)は全国諸窯に伝承しているものの,その精製や配合は九州的特殊性を保有している.

装飾技法は故唐津系では多様性があり,江戸中期以降には複雑な装飾性を加味している.しかし古上野,古高取系の陶技は比較的単調で特色ある窯変効果と,僅かに刷毛目文あるいは「カンナ目文」「指掻文」等を加味した程度である.

九州の諸窯で焼成された品種として茶陶窯では類形的な茶器の反復でぜいたくな様式であったのに対し雑器を主に焼成した窯場は端的に窯場環境の特殊性を反映し,品種はたとえ類形的な器であっても,健康性があり,機能性がある.

例えば小鹿田の窯場が小石原高取系分派ではあっても開窯当初から,雑器窯として出発しただけに基本的に茶陶的なぜいたくさはなく本質的に民芸陶としての造形性を温存して,それが一貫して継承されてきたところに現代的な意義付けがある.

 胎土となる源土の採掘には江戸時代の陶工達は想像以上の苦労を重ねたと思われる.茶器成形の胎土は単味も考えられるし,異なった原土を配合した場合も考えられるが,雑器窯としての原土は小鹿田の場合終始単味であった

.良土に恵まれた窯場環境がある意味で小鹿田窯を支える大きな要因であったといえる.適当な可塑性と粘着力のある原土が第一の条件でもある.しかもさほどの鉄分もなく,密度も均一で特に水簸胎土とした場合,ことさらに心配りをしなくても異質物はなく,素直に使えるのが小鹿田の胎土である.

原土を採掘し,唐臼で粉砕し,鹿土(こしつち)にして胎土をこしらえる仕事は各窯に共通した工程で「土造り」の技法であったが,時の流れと,安住な傾向の中で姿を消し,もはや小鹿田以外の窯では姿を消してしまった.

つまりこの事が現在の小鹿田の特色であり,仮に唐臼を使った土造りが小鹿田から消えたとしたら小鹿田の価値はなかば喪失する.

成形上の基本である轆轤技法は高麗.李朝系の技術の伝承で九州窯芸の基本的な工程である.蹴轆轤を用い,ヘラ,布を用いて胎土を水引して碗類,皿類の形姿を造り,半乾し,後に「削りカンナ」で高台を削りだし,底を削りだし,全体の形と姿を外側の削り出しで整えていく極めて共通的工程で室町末期から伝承された九州の技法である.

この共通的伝承技法も,量産化,労働力の軽減から機械轆轤へと転化している.この事は脚と手と身体全体で感じた陶工の作陶感情が手のみに片寄って五体のバランスが創造する美の世界から遠ざかる事を意味する.こうした傾向が商品の量産化と共に促進されれば,もはや小鹿田の民窯は本来の使命を自ら放棄する事になる.小鹿田も今その岐路に立たされている.

蓋付きの大壷類やカメ類等の立体的形状の容器類は,底造り,輪積み,叩き,口造り,といった成形過程であるのが九州一円に伝承された李朝系の陶技である.

しかし大きい形状の物は上下分割して成形し,後に,重ねる方法と,最初から輪積みして叩く方法があるが小鹿田の場合は前者で,唐津は後者である.今日ではこうした大型の蓋物は需要が大幅に減り,あっても装飾的傾向にあり,作陶する機会が少なく,これらを作れる陶工が極めて少ない,小鹿田窯では,父子,兄弟の間柄でかろうじてその技法は継承されている.

装飾技法としては李朝系なかでも,鶏竜山諸窯,広州窯等の技法が九州に導入された結果,瀬戸,美濃地方とはやや趣を異にする.きわめて単調な彫り絵,筆による書き絵,印刻文,象嵌文,あるいは刷毛目技法など多様である.しかし北部九州の諸窯,子唐津系,あるいは肥後窯,薩摩窯の一部は装飾性が加味され,技巧的な絵模様表現が見られるものの,小石原民窯,小鹿田民窯にはこの傾向は弱く僅かに施釉の折りの掛け分けとカンナ目文,刷毛目文,指掻き文程度で「用と美」を基調とした民窯の装飾といえる.

窯詰め,窯焚きは九州では階段式連房窯で,特殊の場合以外は匣(さや)鉢を用いる事なく陶枕(とうちん)を用いた空積みで,重ね積みしてある.燃料は薪を主とした松木だが松木に恵まれない所は雑木を用いて焼性したが,今日では燃料革命のあおりもあって,薪使っている所は極めて少ない.又登り窯と言われる連房窯をまもり続ける事自体非常に困難であるが,小鹿田はほとんどが薪窯である.

また特に注目に値するのは,登り窯を今も昔ながらの生業の姿で共同運営している,いわゆる「寄り合い窯」を長い間相互に守り続けている.個人窯,単窯では感受できない皿山の営みが今なお小鹿田の寄り合い窯に温存されている.

参考文献:「小鹿田の伝統と陶技」大分県文化財調査報告書第32輯

大分県教育委員会S50.3.25発行


九州窯芸史上の小鹿田陶窯...永竹 威 氏 論文よりの抜粋,要約


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