おんた家からのお知らせ
小鹿田焼メディア掲載情報②
2009年10月27日
開運!なんでも鑑定団にご出演されている、「いい仕事してますね~」でお馴染みの中島誠之助先生も小鹿田焼のファンです。
中島誠之助 私の逸品
飛び鉋の納豆鉢
日田の山峡に小鹿田の窯場を訪ねたのは初夏の頃であった。坂道をたどっていくと、ゴトンゴトンという音の間にザーッという水の流れる音がまじって聞こえてくる。
道がカーブして目の前に小屋掛けした大きな臼と杵が現れた。谷水が杵の柄桶にたまると、水の重さで杵が上がり、次の瞬間水がザーッとこぼれてゴトーンと臼を叩く。臼の中には小鹿田焼の陶土が入っている。
すぐ傍らの登り窯の腹をたどっていくと売店に出た。私はここで飛び鉋の小鉢を買った。値段は500円で店主が、「先生、お待ち下さい」という。「だめだよ、ここでカネを払わなかったら買いに来た意味がない」と店のあるじにむりやりにコインを握らせた。
私は納豆が大好きで、毎朝欠かしたことがないが、つねづね納豆をとく小鉢を探していたのだ。小鹿田焼の鉋目を見た時、念願がかなった。素晴らしい、逸品である。いまでは毎朝納豆をときながら、あの杵の音に思いをめぐらせているのだ。
中島誠之助・中島由美・監修『やきものを楽しむ、上野焼・小石原焼・小鹿田焼』(2003年10月小学館発行)より抜粋