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【ONTA KILNS FOLK POTTERY Vol.4】小鹿田陶の特質

2010年05月08日

小鹿田焼専門店おんた家をご覧いただきありがとうございます。

 

ONTA KILNS FOLK POTTERY‐Vol.4

小鹿田陶の特質

 

小石原高取系の分流である小鹿田陶器は,小石原皿山の製品とその様式,作調は共通である.その反面共通ではあるが工芸美学的に鑑賞すると,製作された民芸陶器としての内容づけの中にその特質が見られ,その特質が現時点において確認できる.

(1)陶技伝承の現代的感受し方,継承態度である.それは民芸陶窯らしい窯場環境の中での生業としての受けとめ方,生業の姿の守り方によってその方向付けが決まる.日田皿山に居を構え,半農半工的な日常生活の中に工人としての暮らしがある事は無形の特質である.

(2)小鹿田窯の環境を基調とした材質の美が大なり小なり保持されている.胎土の精製,釉薬の配合精製が日田皿山の開窯当初の素朴な原型をとどめ出来上がった雑器には小鹿田らしい感触,材質の特色づけがある.

(3)「手仕事の美」が感じられる.小鹿田窯の手仕事は皿山的集団組織の中で特色づけられる.受け継がれてきた数多い道具と工人の心が歴史的造形性を形成していて,有形,無形の手仕事の美をかもしだしている.

(4)雑器とはいえ,厳しい形姿が感じられる.それは意匠といった堅苦しいものではなく重厚さや安定性,野生的造形性である.

(5)機能性それは生活の用具として使いこなす上で材質の美が現れてくる.しかし現在の小鹿田陶のこのような特質がすべて温存しているとはいえない.社会環境の変化の中で唯物的思潮の流れで崩壊している面も感じられる.単なる「残存民芸」といった美辞の中で考える事も危険である.小鹿田陶の特質がまだ生きづいているが゛,小鹿田陶の特質をいかに守り続けるかは,日田皿山と言われる小鹿田窯で生業を続ける小鹿田の工人自身の集団工人的自覚と純粋な作陶感情にある.

参考文献:「小鹿田の伝統と陶技」大分県文化財調査報告書第32輯

大分県教育委員会S50.3.25発行

九州窯芸史上の小鹿田陶窯...永竹 威 氏 論文よりの抜粋,要約


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